2008年6月30日月曜日

総合内科の「聴診器」

総合内科の聴診器=デジカメ

「聴診器と同じくらい良く使うため、あたりまえのように皆持っていなければならないもの」

うちのあるシニアレジデントが定義したものです。






僕も最近新しいデジカメを買いました。



これがそのカメラです。
Canon IXY 25IS

以前もっていたものは性能が悪く(中古で買った)、起動も遅ければピントが合うのも遅い。
上の写真はそのカメラで撮ったものですが、こんな単純な写真ですらピンボケ・・・

さらに接写ができなかったので致命的でした。

今度のカメラは3cmまで接写可能で非常に便利です。

これからはコイツでInteresting caseやConferenceの様子を紹介していきたいと思います。

2008年6月26日木曜日

横須賀海軍病院合同カンファレンス

昨日は横須賀の海軍病院へ行ってきました。

今回で基地内に入るのは2回目になります。



基地内に入るゲートです。
ある意味、国境なので、入るのにやたら時間がかかりました。
写真もこんなところで撮っていいのかなぁ?



これが病院。
敷地は結構広々としています。



発表中の僕。
IEの症例を出しました。
実はこの症例、自分は担当しておらず、当初別のレジデントが発表予定でしたが
ちょっとした手違いでそいつが来られなくなり、
仕方なく発表中の僕。



最後は恒例の記念撮影。

日本人は写真好きです。


昨年度とはスタッフ、研修医ともに入れ替わっており、
知っているDrは数名しかいませんでした。
昨年度のレジデントは各自、新天地で働いているのでしょう。
ハワイでの研修が決まったヒトなんかもいて、羨ましいです。
でも皆、数年越しの夢を叶えるためにとっても努力されているのだと思います。

2008年6月24日火曜日

Severe Neck Pain

ADL自立の80代女性

6日前から首がいたい。

昨日から激痛に変わり、ぜんぜん首を動かせなくなったため救急要請。

微熱あり。他の関節痛なし。筋肉痛なし。頭痛なし。

両肩にも疼痛があるが、首に比べたらたいしたことなし。



ERにて一通りのwork upされるも、CRPが10と上昇しているくらいで原因不明。
まったくの「?」で私のところにコンサルトが来ました。



問診を取り直しましたが上記以上の情報はありません。

体動でかなり痛いらしく、つらそうな感じです。

診察上は頚部に圧痛あり、首は1cmでも動かすと激痛が走ります。

他、関節の炎症所見や筋の把握痛などは認めません。

今、はやりの側頭動脈炎も頭をよぎりましたが、所見はありませんでした。



さて、ここまで来て、私の頭には2つの鑑別しか浮かびませんでした。

そのうちの1つは、自分のなかではかなりの検査前確率です。


とりあえず、ESRを測定。


予想通り、30分で94mm!! 1時間で100mm以上と著明に上昇。

同時に頚椎のCTをオーダー。これで診断が確定するだろうと期待をこめて。。。

そして結果は。。。


↑歯突起の周りに変な石灰化が見られますね。

これで完全に治療閾値を越えました。
NSAIDs内服による治療を開始したところ。。。


著効です。これぞ「著効」と言う状態に相応しい変化でした。

1錠内服してしばらくすると、今まで1cm動かしただけで激痛が走っていたのが
完全ではありませんが痛みも無く動かせるようになったのです。

うそのように良くなったと、泣いて感謝されました。




Diagnosis:Crowned dens syndrome


私がこの方を診察してすぐにこの疾患を疑うことができたのは、
以前、他院で行なわれたカンファレンスで全く同じような症例を見たことがあったからです。

後に内科学会誌に掲載されました。
(日内会誌 97:466-470,2008)


知っていれば診断は容易ですが、知らなかった場合、あるいは知っているけど
鑑別診断に挙げられなかった場合は(いわゆるTriggering error)
なかなか診断にたどり着けない病気みたいです。

ちなみに私が想定したもうひとつの鑑別はPMRでした。
しばしばPMRと誤診され、ステロイドが使われることもあるようです。


とっても気持ちよく診断・治療に持っていけたのでご紹介しました。



参考までに、CDSってこんな病気です。
http://www.jstage.jst.go.jp/article/internalmedicine/43/9/43_865/_article
http://pub.idisk-just.com/fview/6EsIGFbwXajVEs0_WLPzaTNEku2NRBxXOyK3uoF1QKYTYItNFCbhCIInGvciRHVvNprduFK5aMQDDvuiwwSS5K4mWCVEOGTUUwnuW7zxZGE.pdf
http://rheumatology.oxfordjournals.org/cgi/content/abstract/43/12/1508

2008年6月21日土曜日

流行

入院症例には「はやり」があるみたいです。



1ヶ月くらいまえは、やたら感染性心内膜炎が流行っていました。


典型的なperipheral signをみせてくれた症例









教科書にも載せられそうです。


他にも
全身が痛くてドクターショッピングしてたけど、結局IEだった症例
心外入院ですぐ手術した症例などなど。。。



最近は、血管炎がブームを巻き起こしています。


ANCA関連血管炎や側頭動脈炎など数名。

さらに、Churg-Strauss syndromeが1ヶ月で2人出現しました。
こんなに頻度が多い病気ではないはずなのに…

外来でもRS3PE(これは血管炎じゃないけど)がいました。





それでも年中流行っているのは

やっぱり 誤嚥性肺炎 ですね。

2008年6月15日日曜日

第1回 大船総合内科カンファレンス

6月14日、大船中央病院須藤博先生主催にて、
第1回大船総合内科カンファレンスが開催されました。

初回ということもあり、こじんまりとやる予定でしたが
さすがは須藤先生の人脈といったところでしょうか、
4,50人ものヒトが会場を埋め尽くしていました。

学生さん、研修医からベテランの先生方まで集まり、
会場が一体となって活発な議論が行なわれました。

このカンファレンスはめずらしいケースの見せ合いではなく、
病歴と身体所見を中心に鑑別を挙げ、お互いの頭の中を見せ合おうという趣旨のものであり、
初めに年齢・性別・主訴だけで鑑別診断を羅列するところから始まります。

今回は、大船中央病院、茅ヶ崎徳洲会病院、当院から1例ずつ症例提示がありました。
それぞれ議論が白熱し、予定を1時間ちかくオーバー。。。
私自身は3時間以上フルにenjoyしました。
でもちょっとずっと頭をフル回転させていなければならず、体力的につらいかな?
須藤先生も、次回からは2例が妥当かな?とおっしゃってましたけど。




カンファレンス後、懇親会が行なわれました。(↑そのときの集合写真)

個人的には茅ヶ崎時代の師匠や同期、後輩に会えて
ちょっとした同窓会気分でした。

また、以前からお話ししたかった先生方ともお話しができ、
有意義な時を過ごしました。


このようなカンファレンスだったら毎週やってもいいですね。


次回は8月23日。

2008年6月5日木曜日

スタイン先生 来日。

6月2~3日、スタイン先生によるケースカンファレンスを行ないました。



1日2例ずつ。計4例。


1症例に2時間ほどの時間をかけて、病歴・身体所見から鑑別を絞り、
実際にベッドサイドでの診察のあと、考察を行なうといったスタイルです。



1日目は、感染性心内膜炎とRA+強皮症のoverlap syndromeの症例。



診察の様子です。



これは懇親会。



2日目は、Churg-Strauss症候群とANCA関連血管炎の症例。




徳田先生のカンファに引き続き、
内科のおもしろさを改めて気づかせてくれる内容でした。
またの来日をお待ちしております。

2008年6月3日火曜日

教育回診 徳田安春先生

徳田先生がまたいらしてくれました。

その様子を。。。



★症例①★

生来健康な50代女性

1ヶ月間続く発熱。

近医にて抗生剤数種類処方されるも一向に改善の兆しなし。
同時期より腰痛と両下肢(特に右下肢)の鈍痛としびれ感も自覚する。
38度以上の発熱が連日続き、左指のしびれ感も出現してきたため当院受診となる。

呼吸器症状なし。
腹部症状なし。
膀胱刺激症状なし。
食欲低下あり。
体重減少は測定しておらず不明。
盗汗なし。
老健で働いており、sick contactあり。
歯科受診なし。
海外旅行なし。


いわゆる「不明熱」です。


ここで、病歴による鑑別診断が始まります。

徳田先生は「発熱と下肢のしびれ」という部分からANATOMICALな鑑別を行なっていきます。
つまり、頭から
 大脳⇒Encephalitis
 小脳
 脳幹
 脊髄⇒Multiple sclerosis
 末梢神経⇒Guillain-Barre syndrome
 神経筋接合部⇒Myasthenia gravis
 筋⇒PM/DM
という感じで解剖学的に鑑別を挙げていきます。
(これは私の記憶だけで書いているので実際に先生がおっしゃっていたことと多少違いますが。。。)
このような鑑別診断の進め方を勉強するには↓なんか良いのではないでしょうか。

DIFFERENTIAL DIAGNOSIS IN PRIMARY CARE: R.Douglas Collins


身体所見・・・
 バイタル特記すべき所見なし。
 全身状態やや不良。
 頭頚部異常なし。
 胸腹部異常なし。
 L4あたりのspine tendernessがある。
 神経学的所見も、motor, sensory, DTRとも問題なし。
 ただ左の尺骨神経領域の感覚鈍麻を認める。
 IEを疑わせるようなPeripheral signもなし。
 皮疹や関節の所見もなし。

Labo・・・
 炎症反応の軽度上昇
 Cr1.7mg/dlと腎機能障害あり
 ESRが1時間で100mmと著明に上昇
 尿中WBC100/HPF(しかしG染色ではBacteria認めず)

画像・・・
 胸部レントゲン:WNL
 Osteomyelitisを疑ってMRI施行するも異常なし



詳しくHistory/Physicalをとったところ、
どうやらこの患者さんの病態を一言で言うとこうなります。

 「FUO+mononeuritis multiplex」

ちなみにmononeuritis multiplexをGoogleで調べたら↓を見つけました。
http://www.emedicine.com/pmr/TOPIC80.HTM
参考までに。

このあと当然serological testを出しまくるわけですが、
結局この方はMPO-ANCAが500IUと高値を示していました。
血管炎の可能性がぐんと上がったわけですが、やっぱり組織が欲しいところです。
本症例の場合、腎障害があるため、
腎生検にて病理学的な証拠をつかんでSteroid治療を行なう予定となりました。


★症例②★

60代男性

10年来のDMありインスリン治療中。
ADL自立。

この症例は、内科外来から「貧血精査で入院を」ということでコンサルトされました。
Hbが7台で、正球性。便潜血は陰性なんですけど。。。

ところがよくよく聞いてい見ると、いろんな問題が出てきます。
 2,3ヶ月前からの全身痛
  実際は多関節痛(頚部・両肩・両肘・両手首・背中・両膝)
 両手の腫脹とこわばり
 3ヶ月で6kgの体重減少

今回、徳田先生はETIOLOGICALな鑑別を進めていきました。

よく、Tierney先生が使う
 Vascular:血管病変
 Infection:感染症
 Neoplasm:腫瘍
 Toxic-Metabolic:薬剤・代謝・内分泌など
 Autoimmune:自己免疫疾患 アレルギー疾患
 Trauma-Degeneration:外傷・変性疾患
 Congenital:先天性疾患
 Iatrogenic:医原病 医療行為の合併症
 Idiopathic:特発性
の、簡略バージョンみたなものです(?)

今回は、
 感染症
 膠原病
 その他
この3つのカテゴリーでそれぞれ考えうるものを挙げていきます。

感染症であれば
 化膿性関節炎
 淋菌感染症
膠原病関連であれば
 RA
 PMR
 RS3PE症候群
 DM/PM
その他であれば
 痛風
 偽痛風
(・・・だったかな?これもうろ覚えです。。。)

この方の関節の所見としては、大関節には異常なく、
両手のMP関節・PIP関節の腫脹と指全体の腫脹、左第3指のボタン穴変形を認めました。

結局、RAPA、抗CCP抗体、MMP-3いずれも高値。

ということで、RAでした。

当初、原因不明の貧血あり体重減少も著明ということで惑わされましたが、
後からみるとRAにcompatibleですね。



◆今回のROUNDで感じたこと◆

  鑑別診断にはいろいろな切り口がある

  そして、
  鑑別能力を身に着けるには
  ひとつひとつの症例につき
  ありとあらゆる鑑別を
  頭の中で考えるトレーニングを
  日頃からし続けることが大事


ROUND後、皆口をそろえて「内科おもしろい」と言ってました。

徳田先生、またよろしくお願いします!