2008年3月21日金曜日

徳田安春先生ROUND

3月21日、聖ルカライフサイエンス研究所の徳田先生が教育回診にいらっしゃいました。

その様子を。

Case 1


40代の男性。

2週間続く発熱で精査目的に入院となりました。
頚部のリンパ節腫脹や寝汗、2kgの体重減少も伴っております。

他の情報としては、
 北海道生まれ
 ハワイに数年間居住
 既婚
 Smoker
 亀を飼っている


「不明熱・リンパ節腫脹」ということで鑑別診断がさらさらと徳田先生の口から出てきます。

身体所見では頚部の10mmほどのリンパ節が両側に3,4個で圧痛あり、可動性良好。
鼠径リンパ節は触知するも圧痛なし。
肝臓、脾臓は触知せず。

Laboではリンパ球優位のWBC上昇。肝胆道系酵素の上昇が見られます。

大体ここまでくると診断が予想されてきますが、、、



ここで<teaching point>
 ◆亀。。。といえば、サルモネラ。(この場合は腸炎症状がでますが)
 ◆発熱ときたら、かならず「悪寒」の有無を。そして「悪寒」の程度を。
 ◆リンパ節腫脹は大体触診で予想した大きさより実際は5mmくらい大きい。
 ◆リンパ節腫脹は40mm以上はほぼ悪性。20mm以下だったら良性の可能性が高い。
 ◆鼠径リンパ節は正常でも触知する。(今回は頚部と鼠径でリンパ節を触知するが、鼠径の方では圧痛がないので病的意義はなさそうと判断する)
 ◆寝汗とは?誰でも寝ているときは汗をかく。「下着を替えるほど」かどうかを尋ねる!
 ◆肝臓のサイズを調べる簡便な方法。その名も「scratch test」(聴診器をつかうやつ)。研修医達は皆感動してましたね。下縁はこれで分かります。上縁は打診で。これで鎖骨中線上12cm以上で肝腫大を疑います。


結局、この症例では異型リンパ球が8.0%と上昇。
EB IgM、IgGが上昇しており、EBNAが陰性でした。

咽頭痛は入院後に出てきたそうです。。


最後に<teaching point>
 ◆IMの患者に対して脾臓の触診は強くやらない。破裂する可能性あり!!




Case 2


67歳女性。

主訴は頭痛。

2週間くらい前から頭痛と咽頭痛。
近医で抗生剤処方されるも改善なし。
そのうち口が痛くて開けられなくなってきた。
再び近医受診。炎症反応が高値ということで紹介。

頭痛は側頭部から後頭部。「触ると痛い・髪をとかすと痛い」
両肩の痛みもあり(本人は職業柄、年中痛いと言っているが)。 
微熱、食欲不振あり。

Laboでは慢性炎症パターンの貧血とESR>100mmを認める。
頚部のCTでは明らかな腫瘍や膿瘍は認めず。


気になるのが
 ①口が痛くて開けられない
 ②髪をとかすと痛い
 ③ESR>100mm

②を聞いた瞬間、徳田先生の鑑別診断のトップに側頭動脈炎TAが浮上。
さらに①はもしかしてjaw claudicationではないか?
③はTAにcompatibleだ。

ということで、TAがmost likelyとなりました。
ブランチ先生も同意見です。

この方、両肩の痛みもあり、PMR症状かもしれません。

現在、側頭動脈生検を待っています。


ここで、意見が分かれたのですが、
「TAが疑われるとき、ステロイドはいつ開始するか?」

 ①ただちに。
 ②生検後。

ブランチ先生は②派です。ワシントンマニュアルにもpromptlyに開始するとあります。
徳田先生やウチのその他のスタッフは、眼症状がないから待ってもよいのではないかと言ってます。


最後に<teaching point>
 ◆「髪をとかすと痛い」はTAの有名な症状。
 ◆jaw claudicationは、下顎を支配する動脈の炎症による虚血症状。
 ◆内頚動脈が侵されるとBruitが聞こえる(この方は聞こえました)。


ということで、興味深い回診でした。
なんの準備もなしに出てくる鑑別診断とteaching point。
さすが徳田先生です。

次回も楽しみです。

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