2008年11月25日火曜日

第3回大船GIMカンファレンス

今回で3回目となる大船総合内科カンファレンス。

第1回、第2回と当院からの症例を呈示していたのですが、今回は完全に一観客として参加させていただきました。

仕事の都合で約1時間ほど遅れてしまい、席も後ろのほうになってしまいましたが、まだ最初の症例の現病歴あたりで十分途中参加できました。

それにしても、回を重ねるごとに参加者が増えています。
割と広い会場ですが、このままでは納まりきらなくなりそうな勢いですね。

はじめの症例は、横浜市立大学病院からの呈示でした。

30台女性の全身痛と発熱です。
(途中から来たので内容はあいまいですが...)
とりあえず、からだのあちこちの安静時痛があり、39度以上のSpike feverも出現するというものでした。
不明熱という視点からのアプローチ。そして疼痛に関する症状解析をした結果、血液疾患かもしれないと考え、骨髄穿刺を施行し、診断がつきました。

答えは 急性リンパ急性白血病 でした。

不明熱の鑑別には当然白血病は入っていますが、移動する安静時痛の鑑別には入ってなかったです。勉強になりました。


2例目の前に、須藤先生の‘ネタ’が披露されました。


腹痛を訴えて受診した男子高校生。
左背部痛を訴えて受診した高齢女性。

前者は運動中の接触により生じた外傷性脾損傷。
後者はDomestic violenceによる肋骨骨折。

教訓:内科外来にくる患者は、すべて内科疾患とは限らない。

ふむふむ。本当にそうですね。
そして、やっぱりHistoryが大事ですね!


もうひとつ、爪シリーズも面白かったです。
湿布シリーズもそうですが、須藤先生の着目する視点にいつも感心させられます。



さて、2例目です。

70台男性
慢性腎臓病で外来フォローされている方の、Gradual onsetの呼吸困難です。
来院時のCrが5台で、レントゲン上うっ血像を認めます。
普通に考えて、CKD増悪による溢水、あるいは心不全 → 利尿剤による治療 ですよね。この方もそうなりました。
呼吸状態の方は徐々に改善していったそうですが、なぜか血圧が日に日に下がっていきました。

そしてある日、ショックになってしまいます。

ショックの原因検索がいろいろされ、昇圧剤も使用されますが一向によくなりません。

結局この方、(ちょっと省略)VitB1を投与された直後から血圧が上昇し出しました。
そう、脚気心だったのですね。

実はこのプレゼンのかなり早い段階からこの鑑別診断は出ていました。あのタイミングでこの疾患が鑑別にあがるとは、さすがですね。S先生。

この患者さんは非常に生真面目らしく、CKDの食事制限を忠実に守り、CKDの宅配食のみを食べ、なおかつ食事がまずかったためにそれ自体もあまり摂取していなかったみたいです。

高齢者のCKDの栄養指導は、あまり塩分制限や蛋白制限をしないほうが良い、という意見もでました。そもそも高齢者は食事をあまり摂らない人が多いので、そこに制限を加えてしまうと必要量すらとれなくなる可能性があるからだそうです。
なるほど、その通りですね。とても勉強になります。

そして最後にこの症例の教訓…

 ショックの鑑別にVitB1欠乏も入れよ

詳細なメカニズムは私は知りませんが、末梢が開いてDistributive shockみたいな状態になるようです。おもしろいですねぇ。



今回もためになりました。
直接的に勉強になった、という感覚以上に、もっともっと勉強しなければ、というモチベーションアップに繋がる勉強会で、とてもよかったです。恒例の懇親会も、いつもどおり盛り上がっておりました。


次回は2月です!

2008年10月30日木曜日

ティアニー先生のカンファレンス

ティアニー先生は、毎年茅ヶ崎徳洲会Hpに2週間滞在し、レクチャーをしています。

2年前、うちにもぜひ呼びたいということで、私とブランチ先生で茅ヶ崎へ交渉に行き、
当院でのティアニーカンファレンスが実現しました。
それ以来、毎年来ていただいています。

ということで、今年もいらっしゃいました!

☆内科の神様、Tierney先生☆


ティアニー先生と会うのはこれで5回目ですが、ちゃんと私のことを覚えていてくださいました。
それだけでも満足です。

今回の症例

 謎の2型呼吸不全
 謎の右外転神経麻痺
 PMRっぽいけどステロイドが効かない人

こんな人々を出して、ティアニー先生を悩ませてしまいました。

とてもたのしく、勉強になりました。


ちなみに、私は5年連続サインGETに成功しました!




昨年まではフルネームでのサインでしたが、今年は「LT」と書かれています。
これは、親しい人にしか書かないそうです。
こんなことでとても嬉しくなってしまいました。

そういえば、感染症の青木先生はティアニー先生のことを LT と呼んでいますね。


2008年9月10日水曜日

青木先生の感染症カンファレンス

青木先生がいらっしゃいました。

抗菌薬の講義の最終回(前回の続きでバンコマイシンから)
それに続いて症例検討会をしました。


今回は、おなじみの「しゃっくり」の症例を(懲りずに)出してみました。

詳しくは2回前のブログを参照ですが、結局われわれはあのあと抗結核薬を使いました。


髄液の糖が依然低値だったこと、意識状態がなんとなく良くなかったこと
これらが抗結核薬を使用するに至った理由です。
ステロイドも併用しました。

しゃっくりはとっくに治まっていましたが、この治療後、意識状態はやや改善傾向にあります。


ちなみに、結核性髄膜炎におけるステロイドのDoseに関しては、コンセンサスは無いようです。
そもそも症例が少ないため、Studyを組むのが困難ということがその理由だそうです。


この症例では、「細胞数上昇+糖の低下」がありました。
この場合、青木先生曰く

 そうでないと分かるまで、結核性髄膜炎であると考えよ!

だそうです。(神経内科学の権威のAdamsというひとが言っていたそうですが)

この症例は、まさに結核性髄膜炎が非常に疑わしい状況であり、
比較的速やかに抗結核薬による治療を実行してもよかったのかもしれません。
青木先生も 誰よりも早く使うでしょう とおっしゃっていました。





ところが・・・





結局、この症例に抗結核薬はRetrospectiveにみたら必要なかったのでは?という結論に至りました。



この症例では、抗結核薬を使用せずに髄液の細胞数が600から100まで低下しているのです。
糖が上昇してこないのは気持ち悪いのですが、この未治療下での細胞数の低下は結核性髄膜炎としては矛盾するそうです。



カンファレンスに出せば出すほど謎が深まっていきます。


今のところ、なにひとつ病原体を捕まえることができず、結核の治療を行っています。
臨床的にはよくなっているのですが、自然経過なのか、治療の効果なのか、ステロイドで元気になっているのかは不明です。



次回は11月5日の予定です。

また症例を出します。

乞うご期待。

2008年8月27日水曜日

☆懇親会☆

今回の懇親会は病院近くのレストランを貸し切って行われました。

本当にたくさんの方々があつまり、各々有意義な時間を過ごされておりました。

こうやって、同じような志しをもった人々のつながりを持つということは大事ですね。











次回は11月を予定しているそうです。

2008年8月24日日曜日

第2回 大船総合内科カンファレンス その1

今回も盛り上がりました!

北は北海道、南は九州から。そして学生からベテランの先生方まで参加されておりました。

特別ゲストとして、聖路加の徳田安春先生、トヨタ記念病院の藤田芳郎もいらっしゃいました。


<まずは須藤先生によるOpening Remarks>


<はじめは藤田先生からの症例です>


同じような、体のあちこちを痛がる高齢者が2人登場しました。

結論を言ってしまうと、

はじめの症例は側頭動脈炎、あとの症例は圧迫骨折でした。

面白かった点がいくつかあります。

今回の側頭動脈炎の症例では、症状やCRPの値がFluctuateしていました。
「急性の発症」なのか、「慢性の経過」なのかという議論がありましたが、非常に難しいと思います。

とにかくTAは疑ったらすみやかに治療を開始しなければなりません。
失明してしまいますからね。
この症例では直ちに側頭動脈生検が行われ、ステロイドにて軽快しておりました。

TAの症例で1時間以上もアツいDiscussionが行われ、つかれちゃいました。。。
なので、次の症例はさらっと流す感じで。

同じように全身が痛いということで、いろいろな検査が行われたのですが、結局圧迫骨折であったというものでしたが、ここで格言が飛び出しました。

たしか、「骨折は医者に触らせない」だったかな。

藤田先生、貴重な2症例ありがとうございました!


<須藤先生によるSpPin画像シリーズ>
途中で須藤先生がSpPinネタを披露してくれました。
湿布シリーズ、面白かったです。


<我らが阿多智之先生だ>


さて、我々の症例は、

54歳男性          吃逆           でした。

そう、しゃっくりです。

あまりにもしゃっくりが止まらずに、かわいそうだから入院させたという症例です。

はじめは、まぁそのうち止まるだろ。。。なんて思ってました。
でも止まりません。
コントミンやらギャバロンやら使いました。
でもとまりません。
「わっ!」と驚かしたり水をコップの逆側から飲ませたり…はしたとか、しなかったとか。

とにかくとまらないんです。かわいそうなくらい。
会話もとぎれとぎれになるし、ご飯もろくに食べられません。

誰しもが考える、横隔膜周辺の病気や、中枢神経系の画像評価も行いまいした。
耳鼻科にも見ていただきました。
血液検査も含め、異常ないのです。

本当に困ったわれわれは、しゃっくりはひとまず置いておいて、別の視点からアプローチしてはどうかと考えました。
実はこの方、発熱がずっとあるのです。
血液検査は異常ないと言いましたが、実は低Na血症があるのです。
頭痛もちょっとあるのです。

低Na血症はSIADHかな。ならその原因は?
頭痛と発熱?


我々は腰椎穿刺を施行しました。




・・・細胞数があがってました。600と。
単核球が90%くらいでした。
Viralかなぁと思いましたが、糖が血中の1/3まで低下しているんですよね。

墨汁染色ではなにも見えませんでしたが、クリプトコッカスをねらってアムホテリシンBを使い始めました。結局クリプト抗原は陰性でやめました。

そうこうしているうちに、いつの間にかしゃっくりは治まってしまいました。
髄液の細胞数は自然と100まで低下しました。

でもやっぱり糖が血中の1/3しかないんですよね。。。

経過からして、Viral meningitisかなぁと思っているのですが、髄液の糖の低下だけが気になるのです。
案の定Audienceからもその点をしてきされ、

TBは??????

と突っ込まれまくりました。

皆さん、TBの治療をするべきとおっしゃっていましたが、どうでしょうか。

この症例では、ADA低値・チール陰性・PCR陰性・(培養は途中)でした。

青木先生がたびたびおっしゃっておりますことですが、

「結核性髄膜炎はチールNegative・PCR Negative・培養Negativeのことがよくある」

のです。

ということで、本症例では結核性髄膜炎はまったく否定できていません。
なので、TBの治療をするべきなのかもしれません。

でも、一度始めたら途中で止めることはできず、数ヶ月間治療が続きますよね。
培養Negativeでも治療を止める理由にはならないですから。

我々は、「なんとなく良くなってきたし、このまま様子をみようか」という結論になりました。
んー、でも糖の低下が気になるし、治療した方がいいのかなぁ。。。

もう一度、院内でDiscussionしましょうか。阿多先生。



それにしてもこのカンファに来る学生さんはよくできる。
将来が楽しみですなぁ。


ということで、懇親会でーす。

2008年8月17日日曜日

第2回 大船総合内科カンファレンス<予告>

いよいよ第2回目が8月23日(土)に開催されます。

前回は6月に行われ、大船中央病院の須藤先生の人脈(人徳?)でたくさんの先生方が集まり、活発なDiscussionが行われて非常に楽しかったです。

前回、我々から出した症例は、

 「Chronic diarrheaで来院した、フィリピン人女性」

で、Disseminated TBだったというものでした。

さすが、集まった先生方のレベルは高く、HistoryとPhisicalの途中でずばり当てられたときは、驚きました。


さて、今回も我々の病院から症例提示させていただけることになりました。

 「50代男性の 吃逆 」  

です。

我々の頭を悩ませたように、Audienceの皆様の頭も存分に悩ませてしまおうかと思います。

乞うご期待です。

2008年7月9日水曜日

青木先生のカンファレンス

当院で定期的に行なわれる、青木眞先生による感染症カンファレンス。

今年度は3回目となります。





前回はペニシリン~セフェムのお話。
今回はOther β-lactamということで「カルバペネム」のお話しから入りました。

普段、カルバペネムに関しては適応に関して口をすっぱくして教えてはいるものの、今日改めて講義を聴いて、みんなの頭もクリアになったと思います。

カルバペネムは、グラム陽性菌・陰性菌・嫌気性菌あらゆるものをターゲットにする。それぞれの菌に対しては、例えばStaphだったらPCG、E.coliだったらセフェム系という様にそれぞれ対応が可能である。

それでは質問。

「上記の細菌すべてを一度にターゲットにしなければいけない状況は?」

・・・苦し紛れに
「白血病の患者の腸管が破れて同時に熱傷になった場合ですかねぇ。。。」

つまりこれくらい特殊な状況でなければカルバペネムを出動させる必要がない、ということです。

血液疾患患者がSeptic shockになった場合でも、多くはGNRが起炎菌となるわけで、カルバペネムで嫌気性菌までカバーしてしまうと体を「守っている」菌まで殺してしまい、容易に菌交代現象が起こってしまいます。
Pseudoを狙うならPIPC+GMやCAZなどでよいのです。
MDアンダーソンのDrも同じ見解だそうです。

逆に、カルバペネムを使用しなければいけない状況もあります。
ESBL(Extended spectram beta lactamase)産生株の場合です。
E.coli, Klebsiella, Proteus mirabilisがときどき「R」で真っ赤に染まるとき、ESBLが疑われ、カルバペネムの良い適応となります。
CMZもIn vitroでは効くようですが、In vivoではダメみたいです。やめたほうがよいでしょう。


そして、カルバペネムのもう1つの出番は、

<患者の家族が医者の場合>

感染症治療が上手くいかなかった場合に、

  「PCGを使って治療したのですがダメでした。。。」

では‘世間のお医者様’は、なんでぺにしりんなんかで???となりますが、

  「チエナムを使って治療したのですがダメでした。。。」

ならば、そっか。仕方ないか。となるようです。(笑)



そして今日はやや話が脱線して、誤嚥性肺炎のお話しとなり、
アミノグリコシド、キノロン、ST合剤まで進みました。

アミノグリコシドは1回投与が原則です。

でも例外2つ。
 ・EnterococcusのIE
 ・妊婦

そして、腎機能が悪いヒトでも初回投与は通常量!



最後に、「今覚えておくと一生使える!!!」という表が示され、終了。

せっかくなので、ココに書きます。



★細胞性免疫障害のときに考慮すべき菌名★

(↓2エルエムエヌエスエス)
Legionella
Listeria
Mycobacterium
Nocardia
Sarmonella
(Staphylococcus)

Pneumocystis jiroveci
Aspergillus spp
Cryptococcus spp
Candida spp

Toxoplasma gondii
Strongyloides
Cryptosporidium
Isospora beli




次回は9月10日(水)

抗菌薬の残りの講義(+症例検討)の予定です。

2008年7月5日土曜日

画像カンファレンスの紹介

週に1回、画像カンファレンスを行なっています。



おもしろかったTeaching filmをご紹介いたします。
このカンファばかりはHistoryやPhysicalなんかは一切なしです。







◆これはなんでしょう???◆



<造影CT>


腸間膜の血管の走行に一致する糸状の石灰化像を認めます。

<腹部単純レントゲン>
拡大しないとわかりにくいかも。




<注腸造影>

上行結腸から横行結腸に限局した拇指圧痕像、壁の硬化、管腔の狭小化、壁の不整、ハウストラの消失を認めます。



Diagnosis

Phlebosclerotic colitis(静脈硬化性大腸炎)


知らなければ絶対に分からない。

知っていれば一発で分かる。

そんな症例でした。


参考までに。。。

http://radiology.rsnajnls.org/cgi/content/full/214/1/188

http://www.ajronline.org/cgi/content/full/184/5/1584

http://www.qqct.jp/seminar.php?id=1128

2008年6月30日月曜日

総合内科の「聴診器」

総合内科の聴診器=デジカメ

「聴診器と同じくらい良く使うため、あたりまえのように皆持っていなければならないもの」

うちのあるシニアレジデントが定義したものです。






僕も最近新しいデジカメを買いました。



これがそのカメラです。
Canon IXY 25IS

以前もっていたものは性能が悪く(中古で買った)、起動も遅ければピントが合うのも遅い。
上の写真はそのカメラで撮ったものですが、こんな単純な写真ですらピンボケ・・・

さらに接写ができなかったので致命的でした。

今度のカメラは3cmまで接写可能で非常に便利です。

これからはコイツでInteresting caseやConferenceの様子を紹介していきたいと思います。

2008年6月26日木曜日

横須賀海軍病院合同カンファレンス

昨日は横須賀の海軍病院へ行ってきました。

今回で基地内に入るのは2回目になります。



基地内に入るゲートです。
ある意味、国境なので、入るのにやたら時間がかかりました。
写真もこんなところで撮っていいのかなぁ?



これが病院。
敷地は結構広々としています。



発表中の僕。
IEの症例を出しました。
実はこの症例、自分は担当しておらず、当初別のレジデントが発表予定でしたが
ちょっとした手違いでそいつが来られなくなり、
仕方なく発表中の僕。



最後は恒例の記念撮影。

日本人は写真好きです。


昨年度とはスタッフ、研修医ともに入れ替わっており、
知っているDrは数名しかいませんでした。
昨年度のレジデントは各自、新天地で働いているのでしょう。
ハワイでの研修が決まったヒトなんかもいて、羨ましいです。
でも皆、数年越しの夢を叶えるためにとっても努力されているのだと思います。

2008年6月24日火曜日

Severe Neck Pain

ADL自立の80代女性

6日前から首がいたい。

昨日から激痛に変わり、ぜんぜん首を動かせなくなったため救急要請。

微熱あり。他の関節痛なし。筋肉痛なし。頭痛なし。

両肩にも疼痛があるが、首に比べたらたいしたことなし。



ERにて一通りのwork upされるも、CRPが10と上昇しているくらいで原因不明。
まったくの「?」で私のところにコンサルトが来ました。



問診を取り直しましたが上記以上の情報はありません。

体動でかなり痛いらしく、つらそうな感じです。

診察上は頚部に圧痛あり、首は1cmでも動かすと激痛が走ります。

他、関節の炎症所見や筋の把握痛などは認めません。

今、はやりの側頭動脈炎も頭をよぎりましたが、所見はありませんでした。



さて、ここまで来て、私の頭には2つの鑑別しか浮かびませんでした。

そのうちの1つは、自分のなかではかなりの検査前確率です。


とりあえず、ESRを測定。


予想通り、30分で94mm!! 1時間で100mm以上と著明に上昇。

同時に頚椎のCTをオーダー。これで診断が確定するだろうと期待をこめて。。。

そして結果は。。。


↑歯突起の周りに変な石灰化が見られますね。

これで完全に治療閾値を越えました。
NSAIDs内服による治療を開始したところ。。。


著効です。これぞ「著効」と言う状態に相応しい変化でした。

1錠内服してしばらくすると、今まで1cm動かしただけで激痛が走っていたのが
完全ではありませんが痛みも無く動かせるようになったのです。

うそのように良くなったと、泣いて感謝されました。




Diagnosis:Crowned dens syndrome


私がこの方を診察してすぐにこの疾患を疑うことができたのは、
以前、他院で行なわれたカンファレンスで全く同じような症例を見たことがあったからです。

後に内科学会誌に掲載されました。
(日内会誌 97:466-470,2008)


知っていれば診断は容易ですが、知らなかった場合、あるいは知っているけど
鑑別診断に挙げられなかった場合は(いわゆるTriggering error)
なかなか診断にたどり着けない病気みたいです。

ちなみに私が想定したもうひとつの鑑別はPMRでした。
しばしばPMRと誤診され、ステロイドが使われることもあるようです。


とっても気持ちよく診断・治療に持っていけたのでご紹介しました。



参考までに、CDSってこんな病気です。
http://www.jstage.jst.go.jp/article/internalmedicine/43/9/43_865/_article
http://pub.idisk-just.com/fview/6EsIGFbwXajVEs0_WLPzaTNEku2NRBxXOyK3uoF1QKYTYItNFCbhCIInGvciRHVvNprduFK5aMQDDvuiwwSS5K4mWCVEOGTUUwnuW7zxZGE.pdf
http://rheumatology.oxfordjournals.org/cgi/content/abstract/43/12/1508

2008年6月21日土曜日

流行

入院症例には「はやり」があるみたいです。



1ヶ月くらいまえは、やたら感染性心内膜炎が流行っていました。


典型的なperipheral signをみせてくれた症例









教科書にも載せられそうです。


他にも
全身が痛くてドクターショッピングしてたけど、結局IEだった症例
心外入院ですぐ手術した症例などなど。。。



最近は、血管炎がブームを巻き起こしています。


ANCA関連血管炎や側頭動脈炎など数名。

さらに、Churg-Strauss syndromeが1ヶ月で2人出現しました。
こんなに頻度が多い病気ではないはずなのに…

外来でもRS3PE(これは血管炎じゃないけど)がいました。





それでも年中流行っているのは

やっぱり 誤嚥性肺炎 ですね。

2008年6月15日日曜日

第1回 大船総合内科カンファレンス

6月14日、大船中央病院須藤博先生主催にて、
第1回大船総合内科カンファレンスが開催されました。

初回ということもあり、こじんまりとやる予定でしたが
さすがは須藤先生の人脈といったところでしょうか、
4,50人ものヒトが会場を埋め尽くしていました。

学生さん、研修医からベテランの先生方まで集まり、
会場が一体となって活発な議論が行なわれました。

このカンファレンスはめずらしいケースの見せ合いではなく、
病歴と身体所見を中心に鑑別を挙げ、お互いの頭の中を見せ合おうという趣旨のものであり、
初めに年齢・性別・主訴だけで鑑別診断を羅列するところから始まります。

今回は、大船中央病院、茅ヶ崎徳洲会病院、当院から1例ずつ症例提示がありました。
それぞれ議論が白熱し、予定を1時間ちかくオーバー。。。
私自身は3時間以上フルにenjoyしました。
でもちょっとずっと頭をフル回転させていなければならず、体力的につらいかな?
須藤先生も、次回からは2例が妥当かな?とおっしゃってましたけど。




カンファレンス後、懇親会が行なわれました。(↑そのときの集合写真)

個人的には茅ヶ崎時代の師匠や同期、後輩に会えて
ちょっとした同窓会気分でした。

また、以前からお話ししたかった先生方ともお話しができ、
有意義な時を過ごしました。


このようなカンファレンスだったら毎週やってもいいですね。


次回は8月23日。

2008年6月5日木曜日

スタイン先生 来日。

6月2~3日、スタイン先生によるケースカンファレンスを行ないました。



1日2例ずつ。計4例。


1症例に2時間ほどの時間をかけて、病歴・身体所見から鑑別を絞り、
実際にベッドサイドでの診察のあと、考察を行なうといったスタイルです。



1日目は、感染性心内膜炎とRA+強皮症のoverlap syndromeの症例。



診察の様子です。



これは懇親会。



2日目は、Churg-Strauss症候群とANCA関連血管炎の症例。




徳田先生のカンファに引き続き、
内科のおもしろさを改めて気づかせてくれる内容でした。
またの来日をお待ちしております。

2008年6月3日火曜日

教育回診 徳田安春先生

徳田先生がまたいらしてくれました。

その様子を。。。



★症例①★

生来健康な50代女性

1ヶ月間続く発熱。

近医にて抗生剤数種類処方されるも一向に改善の兆しなし。
同時期より腰痛と両下肢(特に右下肢)の鈍痛としびれ感も自覚する。
38度以上の発熱が連日続き、左指のしびれ感も出現してきたため当院受診となる。

呼吸器症状なし。
腹部症状なし。
膀胱刺激症状なし。
食欲低下あり。
体重減少は測定しておらず不明。
盗汗なし。
老健で働いており、sick contactあり。
歯科受診なし。
海外旅行なし。


いわゆる「不明熱」です。


ここで、病歴による鑑別診断が始まります。

徳田先生は「発熱と下肢のしびれ」という部分からANATOMICALな鑑別を行なっていきます。
つまり、頭から
 大脳⇒Encephalitis
 小脳
 脳幹
 脊髄⇒Multiple sclerosis
 末梢神経⇒Guillain-Barre syndrome
 神経筋接合部⇒Myasthenia gravis
 筋⇒PM/DM
という感じで解剖学的に鑑別を挙げていきます。
(これは私の記憶だけで書いているので実際に先生がおっしゃっていたことと多少違いますが。。。)
このような鑑別診断の進め方を勉強するには↓なんか良いのではないでしょうか。

DIFFERENTIAL DIAGNOSIS IN PRIMARY CARE: R.Douglas Collins


身体所見・・・
 バイタル特記すべき所見なし。
 全身状態やや不良。
 頭頚部異常なし。
 胸腹部異常なし。
 L4あたりのspine tendernessがある。
 神経学的所見も、motor, sensory, DTRとも問題なし。
 ただ左の尺骨神経領域の感覚鈍麻を認める。
 IEを疑わせるようなPeripheral signもなし。
 皮疹や関節の所見もなし。

Labo・・・
 炎症反応の軽度上昇
 Cr1.7mg/dlと腎機能障害あり
 ESRが1時間で100mmと著明に上昇
 尿中WBC100/HPF(しかしG染色ではBacteria認めず)

画像・・・
 胸部レントゲン:WNL
 Osteomyelitisを疑ってMRI施行するも異常なし



詳しくHistory/Physicalをとったところ、
どうやらこの患者さんの病態を一言で言うとこうなります。

 「FUO+mononeuritis multiplex」

ちなみにmononeuritis multiplexをGoogleで調べたら↓を見つけました。
http://www.emedicine.com/pmr/TOPIC80.HTM
参考までに。

このあと当然serological testを出しまくるわけですが、
結局この方はMPO-ANCAが500IUと高値を示していました。
血管炎の可能性がぐんと上がったわけですが、やっぱり組織が欲しいところです。
本症例の場合、腎障害があるため、
腎生検にて病理学的な証拠をつかんでSteroid治療を行なう予定となりました。


★症例②★

60代男性

10年来のDMありインスリン治療中。
ADL自立。

この症例は、内科外来から「貧血精査で入院を」ということでコンサルトされました。
Hbが7台で、正球性。便潜血は陰性なんですけど。。。

ところがよくよく聞いてい見ると、いろんな問題が出てきます。
 2,3ヶ月前からの全身痛
  実際は多関節痛(頚部・両肩・両肘・両手首・背中・両膝)
 両手の腫脹とこわばり
 3ヶ月で6kgの体重減少

今回、徳田先生はETIOLOGICALな鑑別を進めていきました。

よく、Tierney先生が使う
 Vascular:血管病変
 Infection:感染症
 Neoplasm:腫瘍
 Toxic-Metabolic:薬剤・代謝・内分泌など
 Autoimmune:自己免疫疾患 アレルギー疾患
 Trauma-Degeneration:外傷・変性疾患
 Congenital:先天性疾患
 Iatrogenic:医原病 医療行為の合併症
 Idiopathic:特発性
の、簡略バージョンみたなものです(?)

今回は、
 感染症
 膠原病
 その他
この3つのカテゴリーでそれぞれ考えうるものを挙げていきます。

感染症であれば
 化膿性関節炎
 淋菌感染症
膠原病関連であれば
 RA
 PMR
 RS3PE症候群
 DM/PM
その他であれば
 痛風
 偽痛風
(・・・だったかな?これもうろ覚えです。。。)

この方の関節の所見としては、大関節には異常なく、
両手のMP関節・PIP関節の腫脹と指全体の腫脹、左第3指のボタン穴変形を認めました。

結局、RAPA、抗CCP抗体、MMP-3いずれも高値。

ということで、RAでした。

当初、原因不明の貧血あり体重減少も著明ということで惑わされましたが、
後からみるとRAにcompatibleですね。



◆今回のROUNDで感じたこと◆

  鑑別診断にはいろいろな切り口がある

  そして、
  鑑別能力を身に着けるには
  ひとつひとつの症例につき
  ありとあらゆる鑑別を
  頭の中で考えるトレーニングを
  日頃からし続けることが大事


ROUND後、皆口をそろえて「内科おもしろい」と言ってました。

徳田先生、またよろしくお願いします!

2008年3月21日金曜日

徳田安春先生ROUND

3月21日、聖ルカライフサイエンス研究所の徳田先生が教育回診にいらっしゃいました。

その様子を。

Case 1


40代の男性。

2週間続く発熱で精査目的に入院となりました。
頚部のリンパ節腫脹や寝汗、2kgの体重減少も伴っております。

他の情報としては、
 北海道生まれ
 ハワイに数年間居住
 既婚
 Smoker
 亀を飼っている


「不明熱・リンパ節腫脹」ということで鑑別診断がさらさらと徳田先生の口から出てきます。

身体所見では頚部の10mmほどのリンパ節が両側に3,4個で圧痛あり、可動性良好。
鼠径リンパ節は触知するも圧痛なし。
肝臓、脾臓は触知せず。

Laboではリンパ球優位のWBC上昇。肝胆道系酵素の上昇が見られます。

大体ここまでくると診断が予想されてきますが、、、



ここで<teaching point>
 ◆亀。。。といえば、サルモネラ。(この場合は腸炎症状がでますが)
 ◆発熱ときたら、かならず「悪寒」の有無を。そして「悪寒」の程度を。
 ◆リンパ節腫脹は大体触診で予想した大きさより実際は5mmくらい大きい。
 ◆リンパ節腫脹は40mm以上はほぼ悪性。20mm以下だったら良性の可能性が高い。
 ◆鼠径リンパ節は正常でも触知する。(今回は頚部と鼠径でリンパ節を触知するが、鼠径の方では圧痛がないので病的意義はなさそうと判断する)
 ◆寝汗とは?誰でも寝ているときは汗をかく。「下着を替えるほど」かどうかを尋ねる!
 ◆肝臓のサイズを調べる簡便な方法。その名も「scratch test」(聴診器をつかうやつ)。研修医達は皆感動してましたね。下縁はこれで分かります。上縁は打診で。これで鎖骨中線上12cm以上で肝腫大を疑います。


結局、この症例では異型リンパ球が8.0%と上昇。
EB IgM、IgGが上昇しており、EBNAが陰性でした。

咽頭痛は入院後に出てきたそうです。。


最後に<teaching point>
 ◆IMの患者に対して脾臓の触診は強くやらない。破裂する可能性あり!!




Case 2


67歳女性。

主訴は頭痛。

2週間くらい前から頭痛と咽頭痛。
近医で抗生剤処方されるも改善なし。
そのうち口が痛くて開けられなくなってきた。
再び近医受診。炎症反応が高値ということで紹介。

頭痛は側頭部から後頭部。「触ると痛い・髪をとかすと痛い」
両肩の痛みもあり(本人は職業柄、年中痛いと言っているが)。 
微熱、食欲不振あり。

Laboでは慢性炎症パターンの貧血とESR>100mmを認める。
頚部のCTでは明らかな腫瘍や膿瘍は認めず。


気になるのが
 ①口が痛くて開けられない
 ②髪をとかすと痛い
 ③ESR>100mm

②を聞いた瞬間、徳田先生の鑑別診断のトップに側頭動脈炎TAが浮上。
さらに①はもしかしてjaw claudicationではないか?
③はTAにcompatibleだ。

ということで、TAがmost likelyとなりました。
ブランチ先生も同意見です。

この方、両肩の痛みもあり、PMR症状かもしれません。

現在、側頭動脈生検を待っています。


ここで、意見が分かれたのですが、
「TAが疑われるとき、ステロイドはいつ開始するか?」

 ①ただちに。
 ②生検後。

ブランチ先生は②派です。ワシントンマニュアルにもpromptlyに開始するとあります。
徳田先生やウチのその他のスタッフは、眼症状がないから待ってもよいのではないかと言ってます。


最後に<teaching point>
 ◆「髪をとかすと痛い」はTAの有名な症状。
 ◆jaw claudicationは、下顎を支配する動脈の炎症による虚血症状。
 ◆内頚動脈が侵されるとBruitが聞こえる(この方は聞こえました)。


ということで、興味深い回診でした。
なんの準備もなしに出てくる鑑別診断とteaching point。
さすが徳田先生です。

次回も楽しみです。

2008年3月9日日曜日

しばらく。。。

気が付いたら4ヶ月も更新してませんでした。
あまりにログインしていなかったため、パスワードも忘れてしまいました。。。



結局前回の結論は、髄膜炎性髄膜炎によるDICでした。
この症例にはティアニー先生、青木先生もびっくりでした。

そして、この髄膜炎菌は周りの人に感染するのです。
だからちょっとした騒ぎになりました。

予防として、セフトリアキソン・シプロフロキサシン・リファンピシンのいずれかを使用します。
我々、接触したスタッフ、そしてご家族の方にはシプロを内服してもらいました。


本人さんは元気になって退院しました。



でも、あと1日遅れていたら・・・