2007年11月17日土曜日

感染症の恐怖

忙しくて1ヶ月も更新していませんでした。。。

久しぶりの症例提示です。


41歳男性。咽頭痛と発熱を主訴に来院。
救急車で来ています。

普通に内科外来に歩いてきたら、「風邪ですね~」なんていって帰していると思いますが、
この人は救急車をわざわざ使って来ています。

我々はただの咽頭痛と発熱くらいで病院にはあまり行かないし、
まして救急車を使うことなんで相当勇気が要りますよね。

だからこういう人が救急車で来た場合、
 ①普通じゃないくらいしんどい。
 ②ちょっと変わった人。
このどちらかです。
ちなみにこの人は①でした。ブログに載せるくらいですから。

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1週間前からの咽頭痛。
当日の急激な発熱(40度)と頭痛。
それ以外とくに症状なし。
既往も特になし。
sick contactもありません。

これだけの症状ですが普通じゃないと思ったらしく、救急要請しています。

ERにて診察。
バイタルは高熱があるくらいで他は問題なし。
咽頭も軽度の発赤があるくらいで髄膜刺激症状もなし。
所見もぱっとしません。
LaboでもWBC5000、CRP1.5で他も異常なし。
一応耳鼻科の先生にも診てもらっているのですが、たいしたことないと。

結局、上気道炎の診断にて解熱剤のみの処方で帰宅。
翌日外来フォローとなりました。


しかし、その日の夜、また救急車で帰ってきてしまいました。
症状は1回目と同じです。よっぽどしんどかったのでしょう。

型どおりの検査を再度行なうと、

WBC 1600(←5000)
Plt 5万(←16万)
CRP 24(←1.5)

こんなに変化してますが、24時間も経っていないのです。

大急ぎでとれる検体・培養を提出し抗生剤開始され、
敗血症、DICの疑いにて当科入院となりました。


やっぱり普通の人が救急車で来るということは、ただ事ではないのです。


他の検査ですが、胸部レントゲン異常なし。尿もきれい。
髄液も細胞数1/3で糖の低下や蛋白上昇なく、G染色もnegative。

結局Focus不明の敗血症ということで血培の結果を待つことにしました。

2日後、血培陽性の報告があり、H.influenzaeが疑わしいとのこと。
それでもFocus不明のまま経過観察。

幸いにも2日後にはWBC上昇。3日後にはPltも上昇(3万まで低下した後)。
熱もすみやかに下がりました。

これでFocus不明のままに軽快して終わるのかな、と思っていた矢先のことです。
検査室から電話がありました。

検「この人って、髄膜炎の可能性あります?」
私「いや、髄液もきれいでしたし。。。」
検「髄液培養から髄膜炎菌らしいのが検出されたんです」
私「??!!」
検「血培も、H.fluではなくて髄膜炎菌かもしれません。」
私「・・・」

翌朝、検査室へ電話。

私「昨日のアレ、どうなりました?」
検「やっぱり髄膜炎菌です。髄液、血液ともに感受性も一致してます。」
私「えー!!まじですか???」

そしてこの日一日は髄膜炎菌騒動で振り回されるのでした。

(つづく)

2007年10月15日月曜日

横須賀海軍病院とのカンファ①

ずいぶん報告が遅れてしまいました。すいません。。。

9月26日、横須賀海軍病院よりDrを数名招待して、症例検討会が行なわれました。
海軍病院のレジデント3名、スタッフ3名がはるばるいらっしゃいました。

Drブランチ司会です。

いきなり前振りなしに自己紹介タイムから始まり、
突然のあまり、「No thank you」というレジデントも出たり(汗)



1症例目は当院senior resident Dr.Satoによるプレゼンです。

GIMで最も熱い分野のひとつ、FUOの症例でした。
活発な議論の後に「悪性リンパ腫」という結論にたどり着き、
最後は血液内科部長Dr.Tanakaによる骨髄像のLectureに終わりました。





2症例目も同じく当院Senior resident Dr.Ataによるプレゼンです。
非特異的な症状を訴えるPatientで、この症例は結局ANCA関連血管炎でした。





最後はみんなで記念撮影。



この後、懇親会が行なわれました。

非常に有意義な時間でした。
英語でのPresentation, Discussionもみんながんばってたと思います。

次回は横須賀で予定をしています。
カンファレンスはもちろん、軍の敷地を見学できるのがとても楽しみですね。

2007年9月28日金曜日

2週連続お休みです。

9/21は、来る9/26の横須賀海軍病院とのカンファの予行練習のため中止。

9/28は、来る9/26の横須賀海軍病院とのカンファがあって忙しかったので中止。


次回はそのカンファの様子を報告いたします。

9月14日 結末

さて、内科当直医は考えました。

前医より抗生剤が使用されていたため、

「細菌性髄膜炎のpartial treatment」ではないだろうか?

ひとまずCTRX+VCM+ABPCによる治療を開始しました。


また、脳炎や脳梗塞の可能性も否定できず、頭部MRIも施行されました。


その結果、DWIにて右側頭葉に高吸収域が!!
血管の支配領域を無視した高吸収域の広がり方から脳梗塞ではなさそう。
ということは...

「ヘルペス脳炎」。。。


ただちにacyclovirが開始されました。



後日髄液のPCRにてHSV-1陽性の報告あり、ヘルペス脳炎の診断が確定しました。

acyclovirは10日間で終了。
意識レベルは次第に回復していき、コミュニケーションもある程度とれるまでになりました。
現在はリハビリ病院への転院を待っています。

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この症例では、acyclovirによる治療が開始されるまで5日間もかかっているが、
比較的改善したと思われる。

しかし、Parsonality changeやNeurologic abnormalityがなく、
単に「発熱」と「意識障害」で発症した今回のヘルペス脳炎。
かろうじてMRI所見で診断がついたものの、MRIがなければどうなっていたんだろう。
前医での抗生剤投与がなければもうすこし疑えたのか?

とくに高齢者は熱が出ただけで意識レベルが低下する場合も多いし、
そんな人に全例acyclovir投与を考えなくてはならないのか??
ヘルペス脳炎も、細菌性髄膜炎と同様、治療の遅れは許されないし。

実際、当院ではヘルペス脳炎の症例は少なくないため
少しでも疑ったら投与するのは間違いではないかもしれない。

2007年9月19日水曜日

9月14日 症例

Pt:81歳女性 ADL自立

CC:発熱・意識障害

HPI:
 入院4日前、風呂の中で意識レベルが低下している状態を発見され、救急搬送。搬送先の病院で原因検索行なわれるも原因不明。意識レベルも元に戻ったということで帰宅。このころから咳嗽が若干あり。

 入院3日前、傾眠傾向。家で様子見。

 入院2日前、発熱があり再び救急車にて同じ病院を受診。検査されるも「特に異常なし」。抗生剤(セフェム系)を処方されて帰宅。

 入院前日、発熱と意識レベルの低下は改善なし。精神症状は見られず。食事は何とか摂っていたということだが、むせ込みがでるように。

 入院当日、症状の改善ないために救急車にて当院へ搬送。

PMH:高血圧・狭心症

Med:降圧剤

SH:アルコール、喫煙なし

PE:
 意識レベル JCSⅡ-20
 BT 38.4 HR 108 BP 195/114 SpO2 97(酸素3Lカヌラ)
 瞳孔左右差なく対抗反射あり
 項部硬直はっきりせず
 頭部~四肢 特に異常所見なし
 神経 従命入らず評価困難
 DTRは左右差なくnormal
 Babinski徴候なし

Blood:異常値は WBC12700、Neut82.8%、Na130、K2.9 くらい。

CXR:WNL

Head CT:WNL

CSF:細胞数46/3、単核球45/3、蛋白34.80、Glu96.7(血中130)
  (グラム染色ではなにも見えず)




★Problem list★
#1 発熱
#2 意識障害
#3 髄液細胞数上昇(単核球優位)
#4 炎症反応上昇




ERでは血培、LP後にCTRXが開始。
髄液所見からBacterial meningitisの所見に乏しいが、
上記Problemを一元的に説明が困難ということで内科コンサルトとなった。

2007年9月14日金曜日

9月14日 予告

81歳女性

ADL自立


★発熱+意識障害★



このような主訴で救急搬送される症例は割りと良く経験します。

この場合、Life threateningとなりうるBacterial meningitisをまず第一に鑑別するのは常識です。

そして少しでも疑ったら血培→LP→抗生剤(順番に関してはいろいろと議論がありますが)と、初期治療を直ちに開始するというのもconsensusとなってます。



今回の症例では、たった一つのHisotryが診断を非常に難しいものにしてしまいます。

『前医ですでに抗生剤が投与されている…』

この症例に限らず、こんなことがあるとすっきり診断→治療という訳には行かなくなる場合が多くなってしまいますね。

さらに、
なんで抗生剤が投与開始となったかが分からない。
抗生剤投与前に培養が採取されていない。
いきなり広域スペクトラム抗生剤が投与されている。

戦意喪失です。。。



この症例でも同様の状況で、担当医の判断を紛らわせることになってしまいました。

9月7日 結末

★最終診断★

①急性喉頭蓋炎+頚部蜂窩織炎
②敗血症性ショック
③DIC



◆細菌性の急性喉頭蓋炎の起因菌は、ほとんどがH.influenzae type bであるとされているが、本症例では溶連菌迅速検査が陽性で、喀痰培養からD群溶連菌が検出されており、これが起因菌と考えられた。血液培養は陰性であった。

◆抗生剤の選択としては、H.influenzaeをカバーするためにCTRX(ABPC耐性菌を考慮)+口腔内嫌気性菌の可能性も考慮してCLDM+蜂窩織炎の起因菌としてGPCもあり得ると考えてVCMの3剤とした。

◆幸い本症例では初期治療に反応し、②③の状態からは離脱することができた。しかし咽頭の炎症はなかなか治まらず、気管内挿管が長くなったために気管切開。

◆その後は徐々に炎症が治まっていき、気管切開後、約1ヶ月でカニューレを抜去。リハビリ後、歩けるようになり元気に退院していった。




【結語】
本症例では、ほとんどが小児に発症すると言われている急性喉頭蓋炎が高齢者に起こったということ、その起因菌が恐らく溶連菌であったということ、さらに敗血症やDICの合併からrecoverでき、自力歩行退院までこぎつけたということより、非常に貴重で教育的な症例と思われた。

2007年9月12日水曜日

9月7日 経過

・発熱
・咽頭痛
・発声困難
・Stridor


この4つのkey wordより、
「なんらかの上気道感染による気道狭窄」
が疑われた。


喉頭ファイバーでのぞいたところ、喉頭蓋の発赤と腫脹という期待通りの所見が認められた。

『急性喉頭蓋炎』を強く疑い、抗生剤+ステロイドを投与が開始された。




・・・と、診断・初期治療までは比較的スムーズにいったのだが、

突然SpO2低下し、呼吸音減弱。
窒息寸前になったため気管内挿管された。

さらに血圧が60台まで低下。

Septic shockが考えられ、DopamineとNoradrenalineの投与が開始された。
抗生剤は結局、CTRX+CLDM+VCMが選択された。

Laboは・・・
WBCが2100(Stab13.0%, Seg71.0%)
Pltが6.8万
CRP5.13

CTは・・・
口腔庭レベルから気管周囲の軟部組織に浮腫様変化が広がっている。
咽頭後壁の軟部組織の腫脹がある。
甲状腺前面の組織の浮腫様変化。
以上の所見を認め、咽頭炎から続発した蜂窩織炎のように見えた。



<急性喉頭蓋炎に伴うSeptic shock、DIC>の診断にて

抗生剤
ステロイド
昇圧剤
ATⅢ製剤
グロブリン製剤

これらを使用しつつ、Ventilatorサポート下で全身管理を行なうこととした。





次回、結末。

2007年9月11日火曜日

9月7日 症例

Pt:73歳男性

CC:咽頭痛

HPI:
 入院前日朝より倦怠感。
 夕方より左頚部痛、嗄声出現。
 夜中には喉が詰まる感じあり。咳嗽も出現。
 入院当日早朝、発語困難、呼吸困難出現し、救急要請。

PMH:BAなど

PE:
 General condition; very ill
 BT 38.1, BP 115/60, HR 100, SpO2 98(O2 3L)
 throat; reddish, pus-
 neck; bil. tenderness+, LN not palp
 lung; insp. stridor+


と、こんな感じです。

何を考えてどんな検査をしますか?



・・・この後レントゲンを撮りに行こうとしたところ、
  急激にSpO2低下し60台に。
  自分で息を吸えなくなり、挿管されました。。。

2007年9月6日木曜日

9月7日 予告

~今週の合同カンファレンスです~


「突然の呼吸困難にて搬送後、ショック状態に陥った70代男性」


73歳男性。ADL自立。

主訴は咽頭痛+呼吸困難


この患者は来院後数時間で挿管され、ショック状態になってしまいます。

でも約1ヵ月後には元気に退院していきました。


どのような診断が下り、
どのように経過していくのでしょうか。。。

2007年9月2日日曜日

8月31日 答え

診断:ベーチェット病



この症例では、4つの主症状のうち、

口腔粘膜のアフタ
皮膚症状(結節性紅斑、毛嚢炎様皮疹)
外陰部潰瘍

これら3つを満たし、不完全型のベーチェット病と診断されました。
(眼症状はありませんでした。)


入院3日後よりコルヒチン内服開始。

数日後には発熱やアフタは消失。

入院後約10日で退院となりました。

2007年8月31日金曜日

8月31日 症例

40代男性。

【主訴】発熱と皮疹

【現病歴】

1週間前から腰痛4日前から発熱

2日前から前頚部痛、咽頭痛

入院前日、前胸部の発疹、四肢の紅斑出現

入院当日、耳鼻科受診。口腔内アフタ指摘。熱源精査目的にてGIM入院。



★現病歴だけでかなり鑑別が絞られてくると思います★ 


  発熱

  前胸部皮疹

  口腔内アフタ

  四肢の紅斑


★この4つのキーワードからいくらか鑑別を考えつつ、問診を続けます★


【既往歴】特になし。常用薬もなし。


【生活歴】特記すべき事なし(旅行・食事・性行為etc.)。


たいした情報はありませんでした。。。




【身体所見】

 バイタルは熱が38度ある以外はWNL

 前胸部の皮疹を言葉で表現すると、 
    「毛包に一致した粟粒大膿疱性痤瘡様丘疹」

 四肢の紅斑は「結節性紅斑」のようでした。

 その他、口腔内アフタ以外は所見なかったようです。

 







 ・・・と思ったがよくよく診察しなおすと、陰部にも潰瘍が。。。







◆まとめると◆

 発熱

 痤瘡様丘疹

 結節性紅斑

 口腔内アフタ

 陰部潰瘍



ここまでそろえば診断はつきますね。

2007年8月30日木曜日

8月31日 予告

さっそくですが、明日行われる症例の一部をご紹介します。

皆さんの頭のなかに、どのような鑑別診断が思い浮かびますか?


★40代 男性★

主訴:発熱・皮疹

前胸部の皮疹の写真



とくに既往は無いみたいです。

答えは明日の合同カンファレンスで。

(ブログにも載せます。)

湘南鎌倉総合病院 内科合同カンファレンス

当院では毎週金曜日に、総合内科主催の合同カンファレンスを行っております。
このブログは、そこで行われる貴重な症例検討会の内容を少しずつ皆さんにご紹介しようと思い、開設されました。
気軽にご覧ください。。。