2008年11月25日火曜日

第3回大船GIMカンファレンス

今回で3回目となる大船総合内科カンファレンス。

第1回、第2回と当院からの症例を呈示していたのですが、今回は完全に一観客として参加させていただきました。

仕事の都合で約1時間ほど遅れてしまい、席も後ろのほうになってしまいましたが、まだ最初の症例の現病歴あたりで十分途中参加できました。

それにしても、回を重ねるごとに参加者が増えています。
割と広い会場ですが、このままでは納まりきらなくなりそうな勢いですね。

はじめの症例は、横浜市立大学病院からの呈示でした。

30台女性の全身痛と発熱です。
(途中から来たので内容はあいまいですが...)
とりあえず、からだのあちこちの安静時痛があり、39度以上のSpike feverも出現するというものでした。
不明熱という視点からのアプローチ。そして疼痛に関する症状解析をした結果、血液疾患かもしれないと考え、骨髄穿刺を施行し、診断がつきました。

答えは 急性リンパ急性白血病 でした。

不明熱の鑑別には当然白血病は入っていますが、移動する安静時痛の鑑別には入ってなかったです。勉強になりました。


2例目の前に、須藤先生の‘ネタ’が披露されました。


腹痛を訴えて受診した男子高校生。
左背部痛を訴えて受診した高齢女性。

前者は運動中の接触により生じた外傷性脾損傷。
後者はDomestic violenceによる肋骨骨折。

教訓:内科外来にくる患者は、すべて内科疾患とは限らない。

ふむふむ。本当にそうですね。
そして、やっぱりHistoryが大事ですね!


もうひとつ、爪シリーズも面白かったです。
湿布シリーズもそうですが、須藤先生の着目する視点にいつも感心させられます。



さて、2例目です。

70台男性
慢性腎臓病で外来フォローされている方の、Gradual onsetの呼吸困難です。
来院時のCrが5台で、レントゲン上うっ血像を認めます。
普通に考えて、CKD増悪による溢水、あるいは心不全 → 利尿剤による治療 ですよね。この方もそうなりました。
呼吸状態の方は徐々に改善していったそうですが、なぜか血圧が日に日に下がっていきました。

そしてある日、ショックになってしまいます。

ショックの原因検索がいろいろされ、昇圧剤も使用されますが一向によくなりません。

結局この方、(ちょっと省略)VitB1を投与された直後から血圧が上昇し出しました。
そう、脚気心だったのですね。

実はこのプレゼンのかなり早い段階からこの鑑別診断は出ていました。あのタイミングでこの疾患が鑑別にあがるとは、さすがですね。S先生。

この患者さんは非常に生真面目らしく、CKDの食事制限を忠実に守り、CKDの宅配食のみを食べ、なおかつ食事がまずかったためにそれ自体もあまり摂取していなかったみたいです。

高齢者のCKDの栄養指導は、あまり塩分制限や蛋白制限をしないほうが良い、という意見もでました。そもそも高齢者は食事をあまり摂らない人が多いので、そこに制限を加えてしまうと必要量すらとれなくなる可能性があるからだそうです。
なるほど、その通りですね。とても勉強になります。

そして最後にこの症例の教訓…

 ショックの鑑別にVitB1欠乏も入れよ

詳細なメカニズムは私は知りませんが、末梢が開いてDistributive shockみたいな状態になるようです。おもしろいですねぇ。



今回もためになりました。
直接的に勉強になった、という感覚以上に、もっともっと勉強しなければ、というモチベーションアップに繋がる勉強会で、とてもよかったです。恒例の懇親会も、いつもどおり盛り上がっておりました。


次回は2月です!

2008年10月30日木曜日

ティアニー先生のカンファレンス

ティアニー先生は、毎年茅ヶ崎徳洲会Hpに2週間滞在し、レクチャーをしています。

2年前、うちにもぜひ呼びたいということで、私とブランチ先生で茅ヶ崎へ交渉に行き、
当院でのティアニーカンファレンスが実現しました。
それ以来、毎年来ていただいています。

ということで、今年もいらっしゃいました!

☆内科の神様、Tierney先生☆


ティアニー先生と会うのはこれで5回目ですが、ちゃんと私のことを覚えていてくださいました。
それだけでも満足です。

今回の症例

 謎の2型呼吸不全
 謎の右外転神経麻痺
 PMRっぽいけどステロイドが効かない人

こんな人々を出して、ティアニー先生を悩ませてしまいました。

とてもたのしく、勉強になりました。


ちなみに、私は5年連続サインGETに成功しました!




昨年まではフルネームでのサインでしたが、今年は「LT」と書かれています。
これは、親しい人にしか書かないそうです。
こんなことでとても嬉しくなってしまいました。

そういえば、感染症の青木先生はティアニー先生のことを LT と呼んでいますね。


2008年9月10日水曜日

青木先生の感染症カンファレンス

青木先生がいらっしゃいました。

抗菌薬の講義の最終回(前回の続きでバンコマイシンから)
それに続いて症例検討会をしました。


今回は、おなじみの「しゃっくり」の症例を(懲りずに)出してみました。

詳しくは2回前のブログを参照ですが、結局われわれはあのあと抗結核薬を使いました。


髄液の糖が依然低値だったこと、意識状態がなんとなく良くなかったこと
これらが抗結核薬を使用するに至った理由です。
ステロイドも併用しました。

しゃっくりはとっくに治まっていましたが、この治療後、意識状態はやや改善傾向にあります。


ちなみに、結核性髄膜炎におけるステロイドのDoseに関しては、コンセンサスは無いようです。
そもそも症例が少ないため、Studyを組むのが困難ということがその理由だそうです。


この症例では、「細胞数上昇+糖の低下」がありました。
この場合、青木先生曰く

 そうでないと分かるまで、結核性髄膜炎であると考えよ!

だそうです。(神経内科学の権威のAdamsというひとが言っていたそうですが)

この症例は、まさに結核性髄膜炎が非常に疑わしい状況であり、
比較的速やかに抗結核薬による治療を実行してもよかったのかもしれません。
青木先生も 誰よりも早く使うでしょう とおっしゃっていました。





ところが・・・





結局、この症例に抗結核薬はRetrospectiveにみたら必要なかったのでは?という結論に至りました。



この症例では、抗結核薬を使用せずに髄液の細胞数が600から100まで低下しているのです。
糖が上昇してこないのは気持ち悪いのですが、この未治療下での細胞数の低下は結核性髄膜炎としては矛盾するそうです。



カンファレンスに出せば出すほど謎が深まっていきます。


今のところ、なにひとつ病原体を捕まえることができず、結核の治療を行っています。
臨床的にはよくなっているのですが、自然経過なのか、治療の効果なのか、ステロイドで元気になっているのかは不明です。



次回は11月5日の予定です。

また症例を出します。

乞うご期待。

2008年8月27日水曜日

☆懇親会☆

今回の懇親会は病院近くのレストランを貸し切って行われました。

本当にたくさんの方々があつまり、各々有意義な時間を過ごされておりました。

こうやって、同じような志しをもった人々のつながりを持つということは大事ですね。











次回は11月を予定しているそうです。

2008年8月24日日曜日

第2回 大船総合内科カンファレンス その1

今回も盛り上がりました!

北は北海道、南は九州から。そして学生からベテランの先生方まで参加されておりました。

特別ゲストとして、聖路加の徳田安春先生、トヨタ記念病院の藤田芳郎もいらっしゃいました。


<まずは須藤先生によるOpening Remarks>


<はじめは藤田先生からの症例です>


同じような、体のあちこちを痛がる高齢者が2人登場しました。

結論を言ってしまうと、

はじめの症例は側頭動脈炎、あとの症例は圧迫骨折でした。

面白かった点がいくつかあります。

今回の側頭動脈炎の症例では、症状やCRPの値がFluctuateしていました。
「急性の発症」なのか、「慢性の経過」なのかという議論がありましたが、非常に難しいと思います。

とにかくTAは疑ったらすみやかに治療を開始しなければなりません。
失明してしまいますからね。
この症例では直ちに側頭動脈生検が行われ、ステロイドにて軽快しておりました。

TAの症例で1時間以上もアツいDiscussionが行われ、つかれちゃいました。。。
なので、次の症例はさらっと流す感じで。

同じように全身が痛いということで、いろいろな検査が行われたのですが、結局圧迫骨折であったというものでしたが、ここで格言が飛び出しました。

たしか、「骨折は医者に触らせない」だったかな。

藤田先生、貴重な2症例ありがとうございました!


<須藤先生によるSpPin画像シリーズ>
途中で須藤先生がSpPinネタを披露してくれました。
湿布シリーズ、面白かったです。


<我らが阿多智之先生だ>


さて、我々の症例は、

54歳男性          吃逆           でした。

そう、しゃっくりです。

あまりにもしゃっくりが止まらずに、かわいそうだから入院させたという症例です。

はじめは、まぁそのうち止まるだろ。。。なんて思ってました。
でも止まりません。
コントミンやらギャバロンやら使いました。
でもとまりません。
「わっ!」と驚かしたり水をコップの逆側から飲ませたり…はしたとか、しなかったとか。

とにかくとまらないんです。かわいそうなくらい。
会話もとぎれとぎれになるし、ご飯もろくに食べられません。

誰しもが考える、横隔膜周辺の病気や、中枢神経系の画像評価も行いまいした。
耳鼻科にも見ていただきました。
血液検査も含め、異常ないのです。

本当に困ったわれわれは、しゃっくりはひとまず置いておいて、別の視点からアプローチしてはどうかと考えました。
実はこの方、発熱がずっとあるのです。
血液検査は異常ないと言いましたが、実は低Na血症があるのです。
頭痛もちょっとあるのです。

低Na血症はSIADHかな。ならその原因は?
頭痛と発熱?


我々は腰椎穿刺を施行しました。




・・・細胞数があがってました。600と。
単核球が90%くらいでした。
Viralかなぁと思いましたが、糖が血中の1/3まで低下しているんですよね。

墨汁染色ではなにも見えませんでしたが、クリプトコッカスをねらってアムホテリシンBを使い始めました。結局クリプト抗原は陰性でやめました。

そうこうしているうちに、いつの間にかしゃっくりは治まってしまいました。
髄液の細胞数は自然と100まで低下しました。

でもやっぱり糖が血中の1/3しかないんですよね。。。

経過からして、Viral meningitisかなぁと思っているのですが、髄液の糖の低下だけが気になるのです。
案の定Audienceからもその点をしてきされ、

TBは??????

と突っ込まれまくりました。

皆さん、TBの治療をするべきとおっしゃっていましたが、どうでしょうか。

この症例では、ADA低値・チール陰性・PCR陰性・(培養は途中)でした。

青木先生がたびたびおっしゃっておりますことですが、

「結核性髄膜炎はチールNegative・PCR Negative・培養Negativeのことがよくある」

のです。

ということで、本症例では結核性髄膜炎はまったく否定できていません。
なので、TBの治療をするべきなのかもしれません。

でも、一度始めたら途中で止めることはできず、数ヶ月間治療が続きますよね。
培養Negativeでも治療を止める理由にはならないですから。

我々は、「なんとなく良くなってきたし、このまま様子をみようか」という結論になりました。
んー、でも糖の低下が気になるし、治療した方がいいのかなぁ。。。

もう一度、院内でDiscussionしましょうか。阿多先生。



それにしてもこのカンファに来る学生さんはよくできる。
将来が楽しみですなぁ。


ということで、懇親会でーす。

2008年8月17日日曜日

第2回 大船総合内科カンファレンス<予告>

いよいよ第2回目が8月23日(土)に開催されます。

前回は6月に行われ、大船中央病院の須藤先生の人脈(人徳?)でたくさんの先生方が集まり、活発なDiscussionが行われて非常に楽しかったです。

前回、我々から出した症例は、

 「Chronic diarrheaで来院した、フィリピン人女性」

で、Disseminated TBだったというものでした。

さすが、集まった先生方のレベルは高く、HistoryとPhisicalの途中でずばり当てられたときは、驚きました。


さて、今回も我々の病院から症例提示させていただけることになりました。

 「50代男性の 吃逆 」  

です。

我々の頭を悩ませたように、Audienceの皆様の頭も存分に悩ませてしまおうかと思います。

乞うご期待です。

2008年7月9日水曜日

青木先生のカンファレンス

当院で定期的に行なわれる、青木眞先生による感染症カンファレンス。

今年度は3回目となります。





前回はペニシリン~セフェムのお話。
今回はOther β-lactamということで「カルバペネム」のお話しから入りました。

普段、カルバペネムに関しては適応に関して口をすっぱくして教えてはいるものの、今日改めて講義を聴いて、みんなの頭もクリアになったと思います。

カルバペネムは、グラム陽性菌・陰性菌・嫌気性菌あらゆるものをターゲットにする。それぞれの菌に対しては、例えばStaphだったらPCG、E.coliだったらセフェム系という様にそれぞれ対応が可能である。

それでは質問。

「上記の細菌すべてを一度にターゲットにしなければいけない状況は?」

・・・苦し紛れに
「白血病の患者の腸管が破れて同時に熱傷になった場合ですかねぇ。。。」

つまりこれくらい特殊な状況でなければカルバペネムを出動させる必要がない、ということです。

血液疾患患者がSeptic shockになった場合でも、多くはGNRが起炎菌となるわけで、カルバペネムで嫌気性菌までカバーしてしまうと体を「守っている」菌まで殺してしまい、容易に菌交代現象が起こってしまいます。
Pseudoを狙うならPIPC+GMやCAZなどでよいのです。
MDアンダーソンのDrも同じ見解だそうです。

逆に、カルバペネムを使用しなければいけない状況もあります。
ESBL(Extended spectram beta lactamase)産生株の場合です。
E.coli, Klebsiella, Proteus mirabilisがときどき「R」で真っ赤に染まるとき、ESBLが疑われ、カルバペネムの良い適応となります。
CMZもIn vitroでは効くようですが、In vivoではダメみたいです。やめたほうがよいでしょう。


そして、カルバペネムのもう1つの出番は、

<患者の家族が医者の場合>

感染症治療が上手くいかなかった場合に、

  「PCGを使って治療したのですがダメでした。。。」

では‘世間のお医者様’は、なんでぺにしりんなんかで???となりますが、

  「チエナムを使って治療したのですがダメでした。。。」

ならば、そっか。仕方ないか。となるようです。(笑)



そして今日はやや話が脱線して、誤嚥性肺炎のお話しとなり、
アミノグリコシド、キノロン、ST合剤まで進みました。

アミノグリコシドは1回投与が原則です。

でも例外2つ。
 ・EnterococcusのIE
 ・妊婦

そして、腎機能が悪いヒトでも初回投与は通常量!



最後に、「今覚えておくと一生使える!!!」という表が示され、終了。

せっかくなので、ココに書きます。



★細胞性免疫障害のときに考慮すべき菌名★

(↓2エルエムエヌエスエス)
Legionella
Listeria
Mycobacterium
Nocardia
Sarmonella
(Staphylococcus)

Pneumocystis jiroveci
Aspergillus spp
Cryptococcus spp
Candida spp

Toxoplasma gondii
Strongyloides
Cryptosporidium
Isospora beli




次回は9月10日(水)

抗菌薬の残りの講義(+症例検討)の予定です。